イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第26章 【禁断の果実】~第3章 踊る~
『アランは、嫌じゃないのかな?
形式だけとはいっても、
私と、婚約した形になっていること』
ユーリの眉がぴくりと動いた。
が、
サラに気付かれるよりも早く笑顔を作る。
「どうしてそう思うの?」
『なんだか………ときどき、
何か考えこんでいるように見えて……』
ユーリは優しく目を細めて。
「サラ様は優しいね。
大丈夫だよ。
本当に嫌なら、
引き受けたりするような方じゃないと思うから」
『うん……』
「それにね
アラン様自身も、
ウィスタリアを守りたいんじゃないかな」
『え?』
「サラ様も知ってるでしょ?
アラン様の誠実さや、思慮の深さを。
口に出す言葉の数よりも
もっとずっと深く考えてる方だよ」
ユーリはそっと手を伸ばすと
サラの頭を優しく撫でた。
ユーリの優しい声音に
手から伝わるあたたかさに
サラの不安が少し和らいでいく。
「大丈夫だよ、サラ様」
『ユーリ..........そっか。
そうだよね。
ありがとうユーリ。
ごめんね、変なこと言って』
サラがそっと微笑むと
ユーリは柔らかく目を細めた。
「俺はね
サラ様がそうやって
素直になんでも相談してくれるの
すごく嬉しいんだよ」
『………?
どうして?』
「だって……」
ユーリはそっとサラに近づくと
コツンと額を合わせて
優しく囁いた。
「サラ様の一番近くにいるのは
俺なんだって思えるから」
笑みを湛えながらも
どこか真剣みを帯びるユーリの瞳に
サラの鼓動がとくりと音を立てる。
思わず視線を逸らすと
『……ありがとう、ユーリ』
サラは恥ずかしそうに微笑んだ。