イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第26章 【禁断の果実】~第3章 踊る~
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「お疲れさま」
ユーリは
にっこりと微笑みかけながら
サラの前にミルクのカップを置いた。
コトリ…と音がして、
仄白い湯気が立ちのぼる。
パーティーが終わり、
ネープルス国王を見送ってから
サラが部屋に戻ったのは夜遅くだった。
よほど疲れたのか、
ソファーに腰を下ろして
少しぼんやりとしていたが
『あ...ありがとう、ユーリ』
サラはふんわりと嬉しそうに笑って
ホットミルクに口を付ける。
ユーリはサラと過ごす
この夜の一時が
とても好きだった。
プリンセスとして、
気の抜けない日中を過ごした後
プリンセスから
ただの女の子に戻る瞬間。
他の人には見せない
ほっとしたような
なんとも言えない愛らしい表情を見せる。
(今日も可愛い…)
自分だけが知っているであろう
サラの姿に
ほんの少しの優越感に
今日も浸っていると……
ふいに
サラが
何か言いたげに、ユーリを見上げた。
ユーリは首を傾げながら、サラに近づく。
「どうしたの?」
『あの……』
サラの、なにか言いにくそうな表情に
ユーリは、
膝をついて顔を覗きこみ
にっこりと笑う。
「サラ様、
いつも言ってるでしょ?
俺には遠慮しないで、なんでも話して?」
サラは
ユーリの優しい眼差しにどきりとする。
そして、その声に誘われるように
言葉を紡いだ。
『あの……アランは………』
「ん?」
『アランは、嫌じゃないのかな?』
「なにが?」
『形式だけとはいっても、
私と、その……
婚約した形になっていること』
ユーリの眉がぴくりと動いた。