イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第17章 決意
中庭に出ると
空気がとても澄んでいて
夜空にカシオペアがくっきり見えた。
二人、手を繋いで歩く。
「ゼノ様と、話をしてきたよ」
ユーリが沈黙を破った。
サラの動きがぴたりと止まり
繋いでいる指先に、きゅっと力がこもる。
ユーリは
サラの手の温もりを感じながら
澄み切った夜空を見上げると
ゆっくりと口を開く。
「俺にはね…
ゼノ様が全てだから…
やっぱり
他のものは
手放すしかない。
全部は守り切れないもの。
だったら、俺が選ぶのは
……ゼノ様……なんだ」
サラの胸に
ぎゅっと鷲掴みされたような痛みが走る。
ユーリは真っ直ぐに
夜空を見上げたままで
その横顔には、
迷いはなく
凛と美しかった…。
どうなっても…
と覚悟を決めていたサラは
動揺がばれないように
そっと視線を下げる。
勝手に滲む涙が零れ落ちないように
必死に耐え
返事をしようと口を開いたその時…。