第2章 もう一つの魔法の世界
み、耳が痛ぇえええっ!!
この時俺は滅竜魔導士は聴覚がいい事を後悔する程耳が痛くなった。
どのモンスターの声だよ俺の鼓膜破る気かよぶっ殺すぞ!!
その正体はいつの間にか目の前にいて、とても大きな生物だった。
見たことねぇけど堅そうな奴だなー。
鉄っつーより鋼ってイメージだ。
<<耳大丈夫かー? 鼓膜破けてねぇか?>>
『カオス?』
頭の中に何故かカオスの声が響いた。
『(破けてねぇけどよ、ジンと主ってこうやって頭ん中で会話出来るのか?)』
<<本来なら出来ねぇハズなんだけどな
お前の魔力がこの世界のと質が違うからか?>>
『(へー、何か得した気分だな)』
<<余裕ぶっこいてる場合か? こりゃあガイアの迷宮生物だぞ>>
『(ガイアって?)』
<<この迷宮にいるジンだ>>
『(じゃあ迷宮生物って?)』
<<迷宮内に生息する動植物、怪物たちの総称だ
生息する迷宮によってその形状、特性は様々だけどな
コイツの場合は試練用として生み出された迷宮生物っぽいな>>
『へー』
コイツを倒さねぇと宝物庫み行けねぇってか?
上等だ!
『Arbiter(アービター)の時間だ!!』
俺に応える様に鋼の奴は腕を振り下してきた。
勿論躱すのは簡単なのだが…奴の攻撃の威力を目の当たりにして目を疑った。
床にベッコリと大きな穴ができちまった…。
これはかなりやべぇぞ。
攻撃力が高い分のろまだが…一撃でも喰らったら流石の俺でも骨折れるかもな。
『"邪竜の飛爪"!!』
手に魔力を集めて引っ掻く様に黒い衝撃波を放った。
けど、奴は微妙に亀裂が入っただけだった。
見かけによらず結構固ぇなコイツ!
奴は俺に噛み付こうとしたのか顔を近付けてきた。
勿論"流星"(ミーティア)で簡単に躱したけど、また床に大きな穴が空いた。
おっかねぇなー。
『七つの星に裁かれよ…"七星剣"(グランシャリオ)!!』
隕石にも相当する破壊力を持つ衝撃波を放ったんだ。
これはかなり効いたみてぇだな。
だが奴は怒ったのか自我を失ったのか、手当たり次第に暴れだした。
ちょ、お前暴れたら建物壊れるんじゃね!?
違う意味で早く倒さねぇといけなくなったな…生き埋めなんて嫌だし。