第2章 もう一つの魔法の世界
「で、アギト お前はアースランドという世界の魔導士だって言ったな」
『おう』
「では何故杖みたいな小道具を持ってないのだ?」
『俺の世界では杖だけじゃねぇんだ
鍵とかアクセサリーとか色々な奴がいる
魔法には大きく分けて二つあって、覚えて身につけた魔法を能力(アビリティ)系、アイテムを持って使う魔法を所持(ホルダー)系と呼ぶんだ
だから俺の世界での言い方をすると、この世界の魔導士も非魔導士も全て所持系の魔導士になるんだ』
「同じ魔導士と呼ぶ者でも世界が違えば内容も違うのだな 面白い」
『紅炎はえっと…金属器ってのを使うんだっけ?』
「あぁ 金属器を手に入る為には迷宮(ダンジョン)と呼ばれる古代王朝の遺跡群に行くんだ
最奥部の宝物庫においてジンと契約を完了することでジンの力を使う事が出来る
しかし一度入り口である<迷宮の聖門>をくぐると完全攻略するまでは外に出ることができない」
『へー、ジンって?』
「迷宮の支配者、といったらわかりやすか?」
『成程 ラスボスって事な』
「そして俺の様に迷宮を攻略した人物のことを<迷宮攻略者>と呼ぶ
二箇所以上の迷宮を攻略したのは世界でもシンドバッドという男と俺の二人のみで、<複数迷宮攻略者>と呼ばれる」
『世界で二人!? 紅炎って凄ぇんだな!』
「…炎兄?」
『?』
ナツの声がした?
俺は声がした方へ振り返ると、部分的に伸ばし三つ編みを交えた独特の赤髪の少年がいた。
ナツじゃねぇ…紅炎の弟か?
「紅覇か 紅明はどうした」
「書物を片付けてから来ると」
「そうか」
えっと…紅覇くんは確か第三皇子なんだよな。
紅明くん(さん?)が第二皇子…だよな?
「紅炎殿、お待たせしました」
今度は黒髪で口元にホクロがあるお姉さんっぽい人が現れた。
後ろには同じ場所にホクロがあって顔の左半分を火傷の痕がある、黒髪で右は青、左は灰色のオッドアイの少年がいた。
お姉さんっぽいのは白瑛さんで少年は白龍くんだっけ?
「紅炎お兄様」
リボンのような形状に結い上げたマゼンタの長髪の少女が現れた。
確か紅玉ちゃんだっけ?
ちゃん付けは慣れてねぇからなんだかなー…。
「遅れてすみません、兄王様」
長い赤髪を後ろに結い上げた男が現れた。
如何にも頭脳派っぽい感じだな。