第2章 もう一つの魔法の世界
<アギトside>
今、一言でもいいから叫んでもいいと言われたら『助けてくれ!!』って叫びたい。
俺は屋敷の中を歩いている…紅炎の隣で…わかる?
つまり視線が凄ぇ痛いワケ。
「あの者は誰だ?」
「紅炎様の知り合いか?」
「見慣れぬ装飾をしておるな」
見せモンじゃねぇっつーの!!
なんて…言えねぇよなぁ…。
何か評議院よりも緊張するんだけど。
「他の者は放っておけばいい」
『簡単に言ってくれるな』
そうそう、紅炎がこの国の第一王子だって聞いた時は凄ぇ驚いた。
しかも24だってよ…見えねぇよ!
本当はもっと若ぇだろって思ったけど事実らしい。
だけど敬語は止めろって言われた。
偶にはタメ口で気軽に話せる奴が欲しいとか何とか。
正直俺にとっては凄ぇ助かった。
だってさ、紅炎の声ってグレイに似てんだもん。
ついいつもの癖でタメ口で言っちまいそうになったし。
取り敢えず俺達が向かっている先は書物庫。
そこで紅炎の弟や妹達に俺の紹介をするらしい。
待つついでに俺の魔法についてとか俺がいた世界についての話とかするんだってさ。
「着いたぞ 此処だ」
『うわー…凄ぇ巻物の数だな』
評議院の書物庫…っつーか資料室は分厚い本ばっかだったけど、此処は巻物ばっかで正しく書物庫って言うに相応しいな。
そーいえば言葉は通じるけど文字は読めるんだろうか?