第2章 もう一つの魔法の世界
<side out>
東洋の空気が漂う煌びやかな宮中。
煌帝国と名乗り、極東を制し、急に拡大している国家である。
その宮中の屋根に赤髪で顎髭を生やし、端整な顔立ちをした男が寝転んでいた。
煌帝国第一皇子で第二代皇帝・練紅徳の第一子、練紅炎。
<炎帝>の異名を持つ実力者である。
彼は何をするでもなく、ただボーッと空を眺めていた。
世界の理や謎について深く興味を持っているが、それ以外の事となるとぼんやりした印象である。
「……?」
そんな時、小さな何かが空にチカチカと光っていたのに気が付いた。
「…何だ、アレは」
紅炎はムクリと起き上った。
変化を待っていると、突然光が徐々に大きくなっていった。
不思議に思いながらも謎の光を見失わない様に見つめた。
『うああぁああああああ!!?』
白くただ眩しいだけの光から誰かが落ちてきた。
「…は?」
落ちて、きた?
紅炎は反射的に起き上り走り出した。
取り敢えず落下してくる者の真下に向かい、何とか受け止めた。
「おい」
『…アレ?』
顔を合わせると受け止めたのは銀髪の男だとわかった。
見たことのない服だが何者だろうかと疑問が浮かぶ。
が、取り敢えず男を下した。
『えーっと…これはどーゆー状況ですか?』
「…光からお前が落ちてきた」
『え…って事は、助けてくれたんですか?』
「お前が助けられたと思うのならそうなのだろう」
『じゃあ、ありがとうございます』
「では次はこちらが問わせてもらう お前は何者だ」
えーっと…と頭をガシガシ掻きながら言った。