第1章 幼少期と日常
『エルザ、悪いけど少し席を外すな』
「ん? どう言う事だ?」
『外にマスター達のファンが居るみたいでな、少し相手してくるよ』
これを言い訳に一夜から逃げたかっただけだけど。
「ま、待て、私も…」
「エルザさ~ん!」
「うわあぁ!」
復活した一夜がエルザに近付き、匂いを嗅ごうとする。
エルザは必死で逃げる。
すまんエルザ…。
俺はというと外に出た。
辺りには様々な旗を掲げた魔導士が居る。
中でも幾つか見た事のあるギルドの旗があった。
大体300人くらいはいるだろうか。
『(コイツ等…全員闇ギルドか)』
「へっへっ! 此処でマスターを倒せば莫大な賞金が手に入るぜ」
「野郎共、賞金を渡すなよ!」
「殺しまくるぜ!」
どいつもコイツも馬鹿だ。
自分が最強の魔導士とか思っているのだろうか?
そうだとしたら呆れて何も言えない。
「おいお前、死にたくないならさっさとそこを退きやがれ!」
『それはこっちのセリフだ』
何処かの闇ギルドの男がそう叫ぶ。
俺はフッと笑を浮かべながら言った。
これから起きるであろうそれを見て奴らが驚く姿を想像してみたからだ。
起きてたらの話だけどな…と後から思ったのは内緒にしておく。
『さっさと逃げな…死にたくないならな』