第1章 幼少期と日常
ふと、俺に声を掛けて来た男。
スキンヘットの男、蛇姫の鱗の"岩鉄のジュラ"だった。
「済まない、私は…」
『知ってます、"岩鉄のジュラ"さんですね?』
「私の事を知っているとは光栄だ」
『行く街で噂はお聞きしてます、何でも次期聖十大魔導士だとか』
「いやはや、私など貴方には敵いませぬ "黒龍騎士"ことアギト殿には
そして何より"聖十大魔導士の称号をその場で叩き折った男"と聞いておりますからな 私に敬語はお止めください」
わかった、と言って話を続けた。
『アレは俺には必要ない物だからな
定例会に参加しなきゃいけねぇとか色々面倒だ…ちなみにマスターも知らないから言わないでくれ これも、色々面倒だからな』
「いやはや、自分はまだ受け取るに値しないと自負して断るその心意気、誠に見事です」
そんな大層な理由なんじゃないけどなと言いかけたが飲み込み、酒を飲んだ。
「ア、アギトぉ!」
『うげっ!?』
突然、エルザが俺の背中に逃げ込ん出来た。
勿論俺もジュラも驚く。
「メーン、怖がらないで良いよ、ハニ~」
『!?』
物凄い濃い顔の男が鼻をヒクヒクとしながら来た。
多分俺の顔は青褪めていってると思う。
もし俺が猫だったら毛を逆立てて警戒態勢だ、うん絶対そうだ。
「どうも、貴方の一夜=ヴァンダレイ=寿で~す」
青い天馬の所の魔導士である。
「おぉ? そこに居る方の香り(パルファム)、アギトさんですか?」
「ん?」
『すまんエルザ…俺もコイツは苦手なんだ…!』
「何!?」
「もっと、私に二人の香りを!」
奇妙な小走りでこっちに近付いてくる。
「アギトに近付くなぁー!」
エルザは強烈な一撃を一夜の顔面に打ち込む。
一夜は「メ~ン!」と叫びながら壁に大穴を開けた。
「アギト、アイツに会ったことがあるのか?」
『あ、あぁ…前に来た時に女に間違えられて…あぁ思い出したくない…!』
俺の二つ目の黒歴史だった。
何をされたかは説明する暇がない…っつーかしたくない。
思い出したくない!!
それに
…どうやら外に客が居るみたいだから。