第5章 さらば、もう一人の友よ
<アギトside>
『っあーー…退屈だー…』
ギルダーツとの話を終えた俺は呟いた事を実行した。
今回のS級クエストはブラットピアッサーっつーモンスターの討伐。
鋭い角を武器に突進するモンスターだが…正直相手にならなかった。
だってグレイの魔法で氷漬け、ラクサスの魔法で痺れさせたら突進出来ねぇじゃん?
後はジェラールの天体魔法とか自分の滅竜魔法であっという間だし。
つーかアイツ逃げ足が早ぇから面倒臭かった!
まぁナルガクルガの方が逃げ足早かったけど。
現在俺は長~い汽車の旅を終え、歩いてマグノリアに帰っていた。
『帰って酒でも…ん?』
今気付いたが、まだ昼間なのに人通りが少ないな。
空から雨の匂いがするからだろうかと思いあまり気には止めなかったけど。
が、今度こそ足を止めた。
『…この匂い…』
「…アギト、」
声がした方を見ると、
『ジェラール?』
ジェラールがいた。
あ、エドラスの方のな。
『どうしたんだよ』
いつもは帽子と覆面を被っているのに、今日は何もしていなかった。
「無事で、良かっ…」
『っおい!?』
ぐらりと傾くジェラールの体を受け止めた。
「くっ…すまない…」
『どうした、誰にやられた!? "アニマ"か!?』
妖精の尻尾でマスターすら知らないジェラールの秘密。
ジェラールは悔しそうにゆっくり頷いた。