第5章 さらば、もう一人の友よ
「すみません、ガジルのフィギアってまだありますか?」
「ちょっと、アギト様のもよ!」
「おぉ…マニアックなとこ来たねー
えーっと、あ、ガジルのはあるけどアギトのは売り切れだ ごめんね」
そう頭を掻き、仲の良さげなカップルに申し訳なさそうに謝るのは、妖精の尻尾のグッズを販売している店の番をしているマックスだ。
「アギトさんは売り切れかー…残念だなぁ…」
「あ、アギト様のは女もある!」
「まぁね、今度仕入れておくよ…っと、ほい、ガジルのフィギア」
「へぇ! 一応猫用スタンド付いてるんだ!」
「スゲー! マジヤバい!」
「ついでにアギトのフィギアにも付いてるよ
まぁ、将来的なことを考えたデザインだよね…」
アハハ、と苦笑しながらマックスはサンプルであるナツ、ウェンディ、アギト、ガジルのフィギアを指差す。
確かにナツとウェンディの足元にはハッピーとシャルルの姿があるが、アギトとガジルにはスタンドしか付いていない。
これはいずれ猫のパートナーを得た時用に作ってあるそうだ。
「また来るわね!」と、ガジルのフィギアを手に去って行くカップル。
一仕事やり遂げたように、マックスははぁ、と一息吐いた。
*
相変わらず騒がしい妖精の尻尾のギルド。
そんな中、ルーシィとウェンディとシャルルはお茶やミルクを飲み交わしながら雑談をしていた。
「…777年7月7日?」
「私やナツさんに滅竜魔法を教えたドラゴンが同じ日にいなくなっているんです」
「そう言えば、前にナツがガジルの竜も同じ日に姿を消した、って言ってたかも
あ、アギトは見送ったって聞いた」
そんな二人の会話を黙って聞いていたシャルルは、頭に?を浮かべながら「どういうことなの?」と疑問を口にする。
「うーん、遠足の日だったのかしら?」
「…ルーシィさんもたまに変なこと言いますよね
火竜イグニール
鉄竜メタリカーナ
邪竜エリュシオン
天竜グランディーネ
皆今どこにいるんだろう…」
真面目な顔でボケをかますルーシィに苦笑を浮かべ、そして知っているドラゴンの名を上げていくウェンディ。
少し俯き、考えれば考える程浮かんでくる疑問にウェンディが頭を悩ませていた。