第5章 さらば、もう一人の友よ
「あの黒いのは間違いなく人類の敵だ そして…人間には勝てない」
『エリュシオンが…そんな…!』
アギトは思い出した様にハッとした。
『もしかして…青い模様がなかったか…?』
「…そういえば、体中に模様があった様な?」
アギトは複雑になった。
エリュシオンがしたワケではない事がわかって安心する。
しかしそのドラゴンの正体は…
『アクノロギア…』
「っ、何だと?」
『ドラゴンについて調べた時、"DRAGON HISTORIA"という書物を呼んだ事がある
アクノロギアは大昔にたった一頭で国を滅ぼしたと書かれていた…お前の言う通り、人類の敵だ』
「じゃあ、お前に滅竜魔法を教えたドラゴンじゃねぇんだな」
『あぁ…安心していいのか厄介なのか…複雑だな…』
「アギト、お前はナツと違って冷静だな」
『? 何が?』
「アイツは、さっき言った黒いドラゴンの話をしただけですぐにでも飛び出して行こうとした」
『…やっぱりな』
「ハッピーにも言っておいたが、ナツを支えてやってくれ
あのドラゴンは人じゃ勝てねぇが、竜なら倒せるかも知れねぇからな」
『ギルダーツ…』
一瞬固まってしまったが、フッと笑みを浮かべた。
『家族がやられて黙って見ていられる程、俺は大人しくないんでな
支える? それもいいが…いつか仇を取ってやるよ』
「…お前が言うと本当にしそうだな」
『ははっ じゃあな』
スッと手を上げ、ギルダーツの家を出る。
ギルダーツはこの時、何故か嫌な予感がした。
アギトの身に何かが起きる。
そんな予感がしたのだ。
『…さて、気分転換にS級クエスト行こっかな~』