第5章 さらば、もう一人の友よ
ナツがギルダーツとの話が終わったであろう時間を見計らって、アギトもギルダーツの家に向かった。
『よ、ギルダーツ』
「おぉアギトか! 丁度ナツと話が終わったトコだ」
『ちょっと聞きてぇ事があったんだけどさ…ナツが凄ぇ速さで走ってくのが見えたぞ』
「あー…」
『まぁその話は置いといて…単刀直入に聞くぞ お前さ…
ドラゴンに会ったのか?』
「!?」
ギルダーツは目を見開き動揺した。
がしかし、溜息を吐いて頭に手を当てる。
「何でわかったんだ?」
『微かにドラゴンの匂いがしたんだ それで試させてもらった』
「成程、滅多に喧嘩売らないお前が仕掛けてきた理由はこれか」
『あぁ、さっきの戦いでお前は右手右足ばかりを使っていた
それは左手左足を負傷したから
そして微かに匂ったドラゴンの匂い…ドラゴンにやられたからクエスト失敗した、って俺の推測だ』
「おっそろしいねぇ…98%正解だ」
ギルダーツはマントを広げ、負傷した体を見せた。
左腕と左足に義手義足、痛々しく巻かれた包帯。
流石のアギトもこれには目を疑った。
「左の手足だけじゃねぇ、内蔵もやられた…ほんの一瞬だった」
『お前が…一瞬で…』
「あぁ ナツは赤いドラゴンを探してるんだったよな」
『…おう 火竜イグニールだ』
ギルダーツはマントを被り直した。
「アギトは…黒いドラゴンなんだよな」
『あぁ 邪竜エリュシオンだ』
「俺がやられたのも黒いドラゴンだった」
『!!?』