第1章 幼少期と日常
「シムルグだと!?」
「そんなにヤバい奴なのか?」
「アイツは肉食の大型鳥…討伐ランクを付けるなら…S級だ!」
「「S級!?」」
『(へぇー、S級なんだ…)』
アギトは隠れているエルザ達の言葉を聞いて、恐怖するどころか口角を上げていた。
『Arbiter(アービター)の時間だ!!』
アギトの宣言に応える様にシムルグも鳥らしい甲高い声を上げた。
シムルグは翼を羽ばたかせて強風を巻き起こした。
砂煙のせいでナツ達からはアギトの姿が見えなくなった。
「くそっ、アギトは無事なのか!?」
「わかんねぇよ!」
エルザの言った事にナツが応えた。
そんな時だった。
「アイスメイク・"突撃槍"(ランス)!」
「「!?」」
砂煙の中からグレイの声が聞こえ、氷の造形魔法が見えた。
砂煙が晴れ、見えたのは氷の盾と槍…
そして…
「「グレイ!?」」
グレイが立っていた。