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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第2章 もう一つの魔法の世界


<アギトside>

『ふぁー…』


書類に埋もれるとは正にこの事だな。
<依り代>との戦いが終わって一カ月程経った。
今俺は書物庫の整理をしていた。

煌帝国の書物の量ってとんでもなく多いだろ?
だから定期的に整理しねぇと「あの書物どこだっけ?」って事が多発しちまうんだよ。
おかげで寝不足だぜ…。

此処の書物の量は本当にハンパない。
妖精の尻尾の書物庫は勿論、評議院の資料室なんて比べものにならねぇ。
フィオーレの図書館くらいの多さだよ。
休憩がてら外の空気でも吸おっと。

俺は書物庫を後にした。
よく牢屋から出た奴が「シャバの空気うめぇ!」って言うよな。
あんな感じがした。
心地よい風も吹いて…


『…え、』


風に乗って、懐かしい匂いがした。


『ウソ…え、でも…此処にいるワケ…でも…この匂い…』

「アギトお兄様?」

『え、あ、紅玉?』

「どうかしたのですか?」

『何でもないよ』


紅玉が不思議そうに俺を見上げた。
不思議がってるだろうが俺は内緒にしておいた。
だって紅玉は女の子だから匂いとか言ったら勘違いしそうじゃん?


『どうしたんだ? 紅炎が呼んでるのか?』

「い、いえ…お兄様ではなく…」


紅玉は言おうか言わまいか口籠っていた。
紅炎じゃないのか?
じゃあ誰だ?


「怪しい男が、アギトお兄様に会いたいと…」

『怪しい男? 特徴は?』

「えっと…全体的に黒い服で、黒い帽子で、顔を隠して…」


黒い服で黒い帽子で顔を隠して…。


…ん?




んんんん!?


いますっごく心当たりのある奴が頭に浮かんだが…




「杖を幾つも背負って…」


確定打きたーーー!!

ウソだろ! 何で!?
Illegal move(イリーガル・ムーブ)だろ絶対!!
あ、Illegal moveってのもチェスの用語で、普通に指していたらあるはずのない着手の事。
いやいや有り得ない有り得ない有り得ない絶対有り得ない!!


「え、お、お兄様ぁ!?」


俺は急いで門へ向かった。
紅玉が驚いているが今は相手出来ない!
とにかく俺は急いで走った。


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