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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第2章 もう一つの魔法の世界


俺は、川はもうねぇけど斜面は残っていたそこへ座った。
此処に座ってたんだよな…アギトは。


「…二年か…」


二年前、アギトはナルガクルガっつーモンスターの討伐の依頼を受けた。
それは評議院直々の命令だったらしい。
だけど…そのまま帰ってこなかった。
現場を見に行った評議院の奴の話が信じられなくて、俺やグレイ、エルザ、じっちゃん達は現場に向かった。

そこにはナルガクルガの死骸と夥しい血だけが残っていた。
アギトの姿はなかった。
相当時間が経ってたらしく、匂いも残ってなかった。
評議院の奴はアギトは死んだんじゃねぇかって言いやがった。
ギルドのみんなは信じなかったし、俺も信じなかった。

なのに…時が経つにつれてみんな諦めていった。
今じゃもう…俺しか信じてねぇ。


だけどあの時、俺はアギトを見たんだ。


あの時俺はS級クエストのガルナ島のクエストに行った。
遺跡の中にデリオラっつーゼレフ書の悪魔が氷漬けにされていたんだ。

その時、耳鳴りがして目の前が真っ白になった。

周りに誰かいねぇのか?

グレイ達は何処に行ったんだ?

そう思った俺は辺りを見回した。


すると…いたんだ。


前より髪が伸びてるけど、見間違えるハズもない後ろ姿。


(ア…ギト…?)


ちゃんと声に出てたのかわかんねぇ。
だけど俺の声が聞こえたらしく、アギトは振り返った。


(…ナ、ツ…?)


大人っぽくなってるけど、間違いなくアギトだった。


(アギ…)


だけど、そこで誰かが来たからと岩に隠れた。
そのせいで我に返って、アギトの姿はなくなった。


「アギトは…生きてるんだよ…」


俺なんかの何倍も強ぇんだ。
S級魔導士のエルザよりも強ぇんだ。
妖精の尻尾最恐の魔導士なんだよ…アギトは。

そんなアイツが…モンスターなんかにやられるワケねぇだろうがっ…。


「…俺は…待ってる…」


だから…



(早く帰って来いよ…)


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