第2章 もう一つの魔法の世界
14人の極大魔法を受けた<依り代>はボロボロと崩れていった。
「<依り代>が粉々に!」
「やったのか…!?」
「ぜっ…全力で撃ったぞ…」
「じゅっ…14人もの金属器使いが一斉に極大魔法を放ったんだ…これで倒せない敵がいてたまるか!」
みんな期待を込めて<依り代>がいたところを見上げた。
だが俺を始め、紅炎、シンドバッド、そしてユナンと名乗る男は睨む様に見上げた。
「いや…これは…!?」
『予想的中…』
<依り代>は確かに破壊された。
だが黒いルフを吸収し、元通りに戻ってしまった。
そして何事もなかったかの様に空の黒い奴を引き摺り降ろそうとする。
「どっ、どうすりゃあいいんだよ!?」
「くそっ! シェヘラザード様の最後の魔力も届かんと言うのかっ!!」
「!? さ…最後の…?」
「俺やお前達が再び極大魔法を撃てたのはあのお方の恩恵だ
そのせいで今はもう…」
「…ティトスくん…ティトスくんは…!?」
「死んだよ とっくに…」
「…そんな…」
…ティトスってのが誰かわかんねぇけど、アラジンくんの友人だったんだと思う。
相当ショックを受けているな。
そしてさっき俺達の魔力が回復したのはシェヘラザード様のおかげだったのか。
だけど、俺達はそれに応える事が出来なかったのか…。
「アラジン…アラジン!」
モルジアナの声でハッと我に返ったアラジンくん。
どうやら<依り代>の様子がおかしい事を伝えている様だ。
確かに<依り代>の動きが止まった。
「それは…<依り代>が迷っているせいだ
正確には<依り代>の"核"になった人物のルフがね
黒いジンを作り出し操るには誰か一人、堕天した人間の強い意志が必用だったハズだからね
マグノシュタットの魔力炉を司る程の人物に心当たりは? アラジン…」
「…それは…きっと学長先生…」
「な…なんだって急にそんな奴の迷いで<依り代>が止まるんだよ?」
「ごらん あの一粒の白い光のおかげさ」
ユナンさんがあのと指差した方を見ると、<依り代>の中に一粒白い何かが混ざっていた。
まるでその白い光は不純物の様に存在を主張していた。