第2章 もう一つの魔法の世界

『！　危ない！』


爆発の煙で見えなかった手が紅炎に迫っていた。
とっさに避ける事が出来ず、捕まえられてしまった。


『紅炎！　"邪竜の飛爪"！！』


腕に魔力を込めて黒い斬撃を飛ばし、紅炎を掴んでいた手を切り落とした。


「お兄様！」

『大丈夫か紅炎！』


紅炎は何とか立ち上がった。
だが魔装と皮膚が剥がされ、体中血まみれになっていた。
アリババくんも掠った腕が同じようになっていた。


この時、紅玉と俺の中で何かがキレた。




「私のお友達とお兄様に…何してくれてんのよっ…この化け物が！！」


『黒龍騎士を怒らせるたぁいい度胸じゃねぇか…ぶっ殺す！！』


奴はまず紅玉に狙いを定めた様で、紅玉目掛けて突っ走る。
それに応える様に紅玉は剣に水を纏わせた。


「"水神槍"(ヴァイネル・アロス)！！」


だが紅炎達と同様、防壁みたいなので攻撃を防がれた。
その隙に俺カオスを魔装しながらは奴の背後に回った。


『穴だらけになりやがれぇええっ！！

　"闇神散弾槍"(カオシリアン・アルサーロス)！！』


無数の闇の魔力で槍を作り出し、奴に目掛けて一斉に放った。
防がれるかもなんて考えてねぇ…ただムカついたからだ！

…と、思ったら、奴に攻撃がヒットした。


「えっ！？」

「あっ…アギトさん！？」

「効いたっ！？　何で！？
　さっきのアリババくんと紅炎おじさんの剣は効かなかったのに…」

「もう一撃！！　"水神散弾槍"(ヴァイネル・アルサーロス)！！」


今度は紅玉の攻撃もヒットした。
え…本当に何でだろう。


『…！』


よく見ると、防いでる攻撃と防げてない攻撃があるのに気が付いた。
アラジンくんも気付いたみたいだ。


「手だ！　アイツが防壁を張るのもルフを奪うのも手の平だけだ！！
　他の場所を攻撃すれば効いている！」


そっか、俺は背中だから攻撃が当たったんだ。
紅玉の場合は腹とか膝だったしな。


「一気に倒す！　みんな力を貸しておくれ！」


アラジンくんの魔法で出来た砂の人形みたいなのが三体出てきた。