第2章 もう一つの魔法の世界
<side out>
「あ…アリババくーん!?」
紅炎に連れて行かれたアリババを見送るアラジン。
「えぇ…今のはですね、[このままでは大量の敵を相手にままならぬゆえ、同じ炎のジンを有するアリババ・サルージャ殿にも火山で魔力を充填した上でぜひご助力願いたい]とおっしゃっておられるのですよ、紅炎殿は!」
「それいつあのおじさんが言ったんだい、白瑛お姉さん!
来いしか言ってないよ」
「助力ったって、あんな奴と一緒に何を…?
どうするつもりなのさ炎兄、アギト兄…!?」
「あっ、アレ!!」
「「!?」」
三人の姿が見えなくなった火山の方から眩い光がした。
それに気付いたアラジンが指を差した。
そこには極大魔法を放つ時に展開される魔法陣の様なものが三つ空に浮かんでいた。
「三つの極大魔法を…同時に!?」
「極大魔法の同時発動なんて見たことないよ」
「ど…どうなってしまうのぉ…!?」
「…アリババくん…!」
「恐怖と瞑想の精霊よ」
「礼節と厳格の精霊よ」
『灼熱と破壊の精霊よ
汝が王に力を集わせ、悪魔の如き熾烈なる業火をもたらせ!』
「極大魔法・"白閃煉獄竜翔"(アシュトル・インケラード)!!」
『極大魔法・"冥魔王蒼炎剣"(イフリージス・グリモアサイカ)!!』
紅炎の魔法陣から白い炎の竜が、アギトの魔法陣から蒼い炎の竜が出現する。
その竜達は<依り代>を包み込み、防壁の外の黒いジンを一気に焼き尽くした。