第2章 もう一つの魔法の世界
魔力を吸収し終えると再び黒いジンに突っ込む。
今度は俺の動きを封じようとしたこか、黒いジンが俺の周りに集まってきた。
そんなに集まったら…火傷するぞ?
『"蒼炎滅刃舞"(イフリージス・インケラードラーミナ)!!』
俺の周りにいた黒いジンの殆どを炎の刃で切り裂いた。
残骸すら存在を許さない、と言う様に斬りつけたところから蒼い炎が黒いジンを包み込む。
案外残酷だなコレ。
「…みんなの為に…世界を守る為なら傷付いても構わない…そんな人なのか…」
アリババくん紅炎をカッコよく見過ぎだよ。
いやぁ紅炎はカッコいいけどさ、そんな理由じゃないよ。
「いえ、全くそんな意味ではなく」
「えっ!?」
「兄王様のあの興奮しきった顔は…」
呆れる様に吐いた溜め息で紅明の言葉は続かなかった。
すると連続で爆音がしたからそちらへ視線を向けた。
「どいつもこいつも、お前もお前も、邪魔だ! 俺の邪魔をする奴は死ね!
お前達は何だ? 俺に真実を差し出せるのか? ん?
お前達を片付ければ俺はついに欲しかったものを手に入れることが出来る
物言わぬ愚図は死ねっ!
とっとと俺にあのマギと語らせろ!!」
おいおい、黒いジンも押し黙っちまったじゃねぇか。
だが紅炎を怒らせたら怖いのを知ってるから、敢えて言わない事にした。
アラジンくんがブルルを震えたのを見た紅覇がすかさず付け足す。
「炎兄はちゃんと国の事を考えてる人だけど、公私を別にすれば知識欲の人だから、今はもうアラジンと話す事しか頭にないよ~」
「ヒィィ!! こわい!」
ドンマイだアラジンくん。
にしても、三人の話を聞いてたとはいえちゃんと腕は動かしたぞ。
なのに黒いジンは増えていく一方だ。
流石一万匹…地味だ。
「ええい、もう面倒くさい! 行くぞアギト!」
『了解!』
「そこのバルバッドの小僧! 来いッ!!」
「? あっ、あーーーーっ!?」
「あ…アリババくーん!?」
すぐに来なかったのがイラッと来たのか、紅炎は説明も無しにアリババくんを掻っ攫った。
俺達は溶岩のところへ向かい魔力を吸収するのだが…紅炎はアリババくんを溶岩に押し付けたり踏み付けたりしている。
客観的にみると虐待じゃね、コレ。