第2章 もう一つの魔法の世界
急ぐこと数時間。
俺は煌帝国についてまず紅炎を探した。
シェヘラザード様ごめんなさい、奴等の誤解が解けたら即報告に戻りますから…。
だが紅炎は見つからなかった。
書物庫にもいないし紅炎の部屋にもいなかった。
他にも紅炎がいそうな部屋へ向かったけど何処にもいなかった。
「アギト様! お帰りなさいませ」
うろうろしてたら紅炎の部下の人に声をかけられた。
だから俺に様は付けなくていいのに…。
『ただいま 紅炎探してるんだけど何処にいるか知らねぇ?』
「紅炎様ならマグノシュタットへ向かっていますよ」
『入れ違いだと…』
マグノシュタット行かずにスタニア共和国を跨いでしまったよ…。
話を聞くといつ帰って来るのかはまだわかんねぇらしいし。
どうしよう…先に玉艶さん探して誤解を解いた方がいいのか?
いや、先にやっぱ紅炎に話して作戦を考え…
<<アギト!! 紅明、白龍、白瑛、紅玉!! 今すぐ俺の元へ来いッ!!>>
『うひゃあ!? こ、紅炎!?』
いきなり紅炎の声がした!
何で今紅炎の声が!?
紅炎は確かマグノシュタットに向かってるハズだろ!?
「我が軍では伝令を遠隔透視魔法で飛ばしているのです
飛距離は各拠点に配置されている魔導士の実力や消費魔力量によってまちまちですけどね」
テンパってる俺に説明してくれた。
成程、確かに此処で声かけられたよ言うよりは念話に近かったかもしれない。
何で五年もいたのに知らなかったのかって?
ずっと一緒にいたから初めてなんだよ。
『ありがとな 今すぐって言ったよなぁ紅炎…了解ぃ!!』
軽く飛んで宮中の屋根に乗り、足に魔力を込めた。
『"神速"!!』
本気を出したから俺がいた場所に残像が残っただろうな。
そのスピードを維持したまま、俺は紅炎の元へ向かった。