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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第2章 もう一つの魔法の世界


一頭のドラゴンと一人の人間が描かれた壁画だ。
シャンバルさんの言った通り、人間の手に炎が灯されている。
ドラゴンが吐いた炎を人間が防いでいる瞬間だった。

俺は左右も見渡した。
すると右の壁にトラン語の文字が幾つか記されていた。
と言っても単語が所々書き記されているだけだがな。


『自…空…舞い…大…け…海…渡り…繁栄…』


さっぱりわからん!
古くなって文字が消えたのか、もしくは訳せなかったのか。
どちらにしろ俺には解読が出来ねぇや。
どうすっかなー…。


と思いながら俺は何気なく反対側の壁を見た


『なっ!?』


そこには俺でも読める…いや、

俺しか読めないであろう文字が書き綴られていた。


『これは…アースランドの文字じゃねぇか!』


それならこの世界の人達が読めないのも無理ねぇわ。
つーか無理だろ。
俺はその壁に近付いて壁画を読んだ。



『昔、世界には数多の竜が存在していた』


この世界でも竜はいたってことなのか!?


『自由に空を舞い、大地を駆け、海を渡り、繁栄していった

 この世の全ては竜族のものであった

 だが、その竜族の支配に異論を唱える竜がいた

 人間と共存できる世界を作りたいと言った

 それに賛同する竜と反対する竜との戦争が始まった

 戦況は拮抗していた

 竜と竜の戦いはいくつもの大地を裂くものだった

 やがて共存派の竜はある戦略を打ち立てた

 人間に竜を滅する魔法を与え、戦争に参加させた…!?』


つ、つまり…滅竜魔法の原点の話かこれは!?


『彼らを滅竜魔導士と呼んだ

 滅竜魔導士の力は絶大であった

 人間との共存を選んだ竜達の勝利は目前と迫っていた

 しかし、ここで一つの誤算が生じた

 力を付け過ぎた滅竜魔導士達は、

 人間との共存を望む竜達さえも殺していった

 そしてその人間の中の一人に、竜の血を浴び過ぎた男がいた

 男は数多の竜を滅ぼし、その血を浴び続けた

 やがて男の皮膚は鱗に変わり

 歯は牙に変わり

 その姿は竜そのものへと変化していった

 男は人間でありながら竜の王となった

 竜の王が誕生した戦争…竜王祭

 王の名は…



 アクノロギア


 竜であり、竜ならざる暗黒の翼…』


ここで文字列は終わっていた。


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