第2章 もう一つの魔法の世界
「「「!?」」」
「はぁあ!?」
「ふざけたことを…」
「やむを得ぬ措置なのです…」
この場にいたほとんどの者が紅炎が第三代皇帝に選ばれるだろうと思っていた為、周囲はいきなりザワついた。
そんな中玉艶が反論しようとした紅炎の眷属の声を遮る様に口を開いた。
「本来皇位を継ぐべきは紅炎…しかし彼は今、征西軍大総督という大任を拝命する身
これを解くは陛下の志を半ばで踏み躙る愚行
故にこの私が…大陸平定までの間、臨時皇帝の座につくのです
これが、陛下の遺志です」
「ほざくな、女狐」
正論ともいえるが言い訳にも言える言葉に紅炎を推し立ててきた者達はあからさまに敵意を露にする。
このままでは宮中が割れると判断した白瑛は玉艶を説得しようと試みる。
「は、母上! どうかご再考を…陛下のご遺志とはいえ、これでは…」
「皇太后陛下…」
しかしそれを弟の白龍が遮った。
「玉座にお着きください 貴女の他にはおりませぬ!」
説得どころか、玉座に着くことを薦めたのだ。
そして白龍の言葉を合図にしたかの様に神官達は声を揃えて言った。
「「「玉座にお着きください皇太后陛下!!」」」
「「「貴女の他にはおりませぬ!!」」」
「「「皇太后陛下!! 皇太后陛下!!」」」
それはこの場にいる者達を洗脳するものにも聞こえただろう。