第2章 もう一つの魔法の世界
「その魔法は、きっと正しいわ本当は、自分でも、おかしいと思ってたの
あの朝、服も髪も全く乱れていなかったし…でも、ワケがわからなくて、怖くて、騒いでしまったけど…後から恥ずかしくなって言い出せなかったの…ごめんなさい…」
紅玉が謝って頭を下げた。
そしてまた泣き出してしまった。
「お兄様…私…私っ…」
『大丈夫だよ紅玉、お前の身に何もなくて本当に良かった』
再び俺はあやす様に頭を撫でたり背中を擦ったりしてやった。
そうしてる間にシンドバッドの臣下達は真犯人につて話していた。
紅玉にこんな辛い思いをさせるなんて…まぁ、犯人の目星は付いてるけどよ。
「スミマセン、全部夏黄文さんがやりました」
「えっ!?」
やっぱりな。
「ええっ!? バカかお前等! 出世したくないのか!?」
「だって、何かもう姫君がかわいそうだし! 俺達夏黄文さんじゃなくて姫の部下だし…」
「シンドバッド王を陥れた反逆者を取り押さえろ!」
「ちっ、此処で捕まるワケにはいかん!」
夏黄文は剣を抜いて抵抗しようとした。
本当に往生際が悪いな。
しかも紅玉を出世の為に利用しただと?
煌帝国の人間じゃなかったら即死刑だな。
『白龍、俺がやる』
「アギト殿!」
『お前は一国の王子だ こんな事で膝を折っていい奴じゃねぇ』
白龍が動き出そうとしたが、俺が止めた。