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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第2章 もう一つの魔法の世界


煌帝国そっくりに再現した模型が出来上がり、ヤムライハさんが呪文を唱えた。


「"真実の水人形劇"(シャラール・ラケーサ)!!」


水がシンドバッドと紅玉の人形みてぇになった。
これはさっき二人の血を一滴ずつ垂らした事によって、二人のルフが入った水。
それにヤムライハさんが事件の夜の行動を再現するように魔法をかけたらしい。
ルフに語り掛け、見えないものや離れた場所、昔の事を教えてもらう【透視魔法】の一つなんだってさ。
故にこの魔法には嘘は吐けないらしい。

覚えたいけど、これはルフに関するものだから無理っぽいな。

先ずシンドバッドが盃を持ち、それを紅玉が片隅で見つめているところから始まった。
そしてシンドバッドが借りた部室で寝てしまい、紅玉も自室に帰ろうとするところだった。


「でも部屋に帰る途中で…」

「あっ、倒れた!」

「誰かに殴られたのね」


少しして紅玉の形をした水人形がフワフワ浮いたまま動いた。


「浮いている?」

『誰かに運ばれてるってことか』

「そしてシンドバッド王の隣へ届けられた…と」

『じゃあシンドバッドは何もしてなかったって事か?』

「これから起きてやるかもしれないじゃない!」

「そうだぜ、姫サマを誰かに頼んで運んで来させたのかも知れねぇじゃねーか!」

『…ホント酒に関しては信用されてねぇな、お前』

「……」


そして時間は経過した。

…何も起きないまま。


「ほら見ろ! 俺は何もやってねーだろ!?」

「「「スミマセン!!」」」

「全く、俺がどれだけ悲しい気持ちになったかわかるのか!」

『それだけ今迄の行いが悪かったって事だろ』

「ぐっ…姫!」


俺の言葉に何も返せなくなったシンドバッドは紅玉に声をかけた。


「ご覧の通り、私達には何もなかった
 貴女の身も名誉も何一つ傷付いてはいないのです」

「そ、そう…」

「姫君!」


またお前か夏黄文!


「騙されてはなりません!」

「夏黄文!」

「そんな他国の怪しい魔法、照明になどなりません
 何故なら彼女はシンドバッド王の家臣!
 王を庇う様に事を進めたのかもしれません…罪を認めなさい、シンドバッド王よ…」

「もう止めて、夏黄文」


弱々しい声で夏黄文を止める紅玉。
もう…色々と精神的に参ってるな。
無理もないよな。


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