第15章 Side Cの事情
「シートベルトをつけてやろう、じっとしていろ」
「じ、自分でできま……」
「いい。俺にやらせてくれ」
ぐっとカミュの綺麗な顔が至近距離で近づいて、息をするのも恥ずかしいくらい近い。あ、カミュ睫毛長い……瞳綺麗。
「よし……これでいい。どうした、顔が赤い」
「カミュが近いせいです……」
「俺を意識しているのか?」
目が合う、どうしよう、どうしよう、どうしよう。
「ふっ。可愛いな、お前は」
「えっ!!?」
「プラネタリウムは好きか?」
「へ……? えっと、一度も行ったことがないのでわからないです……でも興味はあります」
「ならよかった。今日の目的地はプラネタリウムだからな」
彼は涼しい顔で離れて、運転を始める。
窓の外の景色は、くるくると変わり過ぎていくばかり。
私がこのうたのプリンセス様に参加することになって、色々なことがあったように思う。変わったと感じることもあったし、それ以上に新しい発見の方が多かったように思う。
目まぐるしく日々は過ぎ、私には眩しい出来ごとばかりだ。
瞳をそっと閉じれば、浮かんでくる様々な人の笑顔、思い出、声、その全て。
「ん、始まるようだな」
「楽しみですっ」
開演のベルが鳴る。天井に広がり始める、プラネタリウム。見たことのある星座から、知らないものまで。アナウンスが流れ始め、星座の説明や伝承などを解説してくれるので二倍楽しめる。
そっと、私の手に触れるカミュの手。視線を向ければ、意地悪く笑っている。この人は本当に……困った人だ。私の反応を見ると、満足そうに笑む。
カミュはどうしてここまで私に、色々してくれるのだろう。翔くんとも仲はいいつもりだけど、こんな感じになったことは一度もないしなぁ。