第15章 Side Cの事情
「カミュ……?」
「本当に天音か?」
「そうですけど……もしかして、変ですか!?」
「いや……」
カミュは口元を手で隠し、何故か眼鏡をかけて俯いてしまう。み、見たくないほどにおかしいとか!!?
「変だったら素直に言ってください!!」
「ち、近い! 馬鹿者!!」
「恥ずかしくない服装で、一緒に出掛けたいんです!!」
「っ……、俺が言わずとも察しろっ」
「うわっ!」
ふわりとお姫様抱っこされてしまった。いつものカミュの上品な香りがふわりと包み込んで、人々の注目を一気に掻っ攫いながら私たちは外へと出る。
「め、目立ちます! 騒ぎになりませんか!?」
「黙っていろ。それより、肩は痛くないか?」
「大丈夫です……気を使っていただき、ありがとうございます」
「……俺が傍にいる限り、お前に痛い思いも怖い思いもさせはしない」
「ふふ、王子様みたいですね」
「……そうだったなら、どれだけよかったか」
時折、見せるカミュの憂いの帯びた表情に、胸がぎゅっと苦しくなるのは何故だろうか。その憂いを、晴らしたいという気持ちからくるものなのかもしれない。
カミュの車は、これまた高級そうで乗るのを躊躇ってしまうほどに。勿論彼は、何の躊躇いもなく私を助手席へと座らせ運転席へと乗り込んでいった。