第15章 Side Cの事情
看護師さんからは、誰か……とは教えられず、私は相手を知らないまま受話器を耳にあてた。
「もしもし……」
『もしもし? なぁに、その腑抜けた声は』
「!! 美風、さん?」
『そう。元気そう? まさか入院しているとは思わなかったけどね』
「うっ……カミュから聞いて?」
『……へぇ。君とカミュって、そういう仲?』
「え!? いや、違いますよ!? 仲良くなってそれで、あの……っ」
『事情はだいたい聞いた。頑張ったね』
「……はいっ」
耳元で響く彼の声が、やけに優しく甘く、少しだけ涙が出そうになった。