第14章 それぞれの理由
「星織さんは、美風先輩とどうですか?」
「ど、どうとは……?」
な、何動揺しているんだろう私は。
「表情の変化が少ない人なので、不安もあるのではと思いまして」
「それは……あるかな。でもあの人って、実は結構表情豊かなんだよ」
「そうなんですか!? なら……それはきっと、それだけ美風先輩は貴方を信頼しているのかもしれませんね」
「そうかな?」
「はいっ! 美風先輩は仕事に厳しくて、とてもしっかりとした人ですが……その分妥協も許さない人ですし、気難しいところもあるみたいです。そんな美風先輩がパートナーに選んだということは、認めて下さっているんだと思うんです」
「……そうだといいなぁ。美風さんが日本に戻ったらね、前よりちょっとは変わったってところを見せたいと思っているんだ」
七海さんは、少しきょとんとした瞳でこちらを見つめていた。何か変なことでも言ったかな……?
「あの、星織さん!」
「はい……」
「えっと……こんなことを私が勝手に言っていいのか、わからないのですが」
「どうぞ……?」
「美風先輩、海外での仕事は既に二週間も前に終わっていますよ」
「は……?」
次は私がきょとんとする番だった。