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【うたプリ】足し算恋愛事情

第14章 それぞれの理由



 手を伸ばし、紙を捕まえる。真っ白かと思えば、そうではなかったらしい。わけのわからない音符が羅列され、楽譜のようだった。


「すみませーん!!」


 遠くの方で、可愛らしい声が聞こえる。視線を向ければ、ボブヘアーのおっとりとした女の子が涙目で空に舞い上がる楽譜を捕まえながら、こっちに向かって来る。


「あ、もしかして……これ貴方の?」
「そうです! 不注意で風に飛ばされてしまって……大事な曲なので。捕まえてくださったみたいで、ありがとうございます」
「どういたしまして。作曲家とかですか?」
「そうなんです!! 年末のうたのプリンセス様関連の曲を……」
「うたのプリンセス様関連……」
「はっ! な、なんでもありません!! 今のは聞かなかったことに!!」
「私、そのコンテストの参加者なんだ」
「え、そうなんですか?」


 参加に至った馴れ初めを話すと、彼女は興味深そうに私の話に耳を傾けた。彼女は、シャイニング事務所の作曲家らしい。知り合いの人たちと、縁の深い人物らしく特に翔くんや聖川さんたちのグループのデビュー前の裏話を聞くことが出来た。

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