第14章 それぞれの理由
「あ……」
『ちょっとだけ、とある人に向けてメッセージを送ってもいいですか?』
『え? あ、どうぞどうぞ! 美風さんの大切な人にですか?』
『そんなんじゃないんですけど……。えっと、きっと見ていないだろうけど……まぁ、いいかな』
やっと、わかったような気がするから。
『泣いてない? 大丈夫? 待ってて、君に魔法をかけてあげられるのは、僕だけでしょ?』
この想いが教えてくれた、その全てが。
『ひゅー! 美風さんかっこいい!!』
『からかわないで下さい。ちょっとした、エールですから』
にこにこして見つめていたら、小さな咳払いが聞こえ、自分が今どんなあほ面を晒していたか気付いて勢いよく布団を頭から被った。
「天音、何をくだらなんことをしている」
「見た……?」
「ふっ」
「わ、忘れてぇええええええ」
「焦りすぎて敬語が抜け落ちているぞ」
「っ!!!」
「別に構わん。俺は気にせん」
「……カミュ、ってさ……」
「ん?」
「優しいね」
無言で頭付近を叩かれた。