第14章 それぞれの理由
入院することになり、二週間が過ぎた。心配して駆けつけてくれた愛佳さん、そして翔くんに聖川さん。愛佳さんは何故だか物凄い号泣で……今では私の大切な友達の一人。
翔くんは早く元気になれるようにと、栄養ドリンクを大量に病室に持ち込み、カミュに睨まれていた。聖川さんは景気付けにと、美味しそうなお弁当を差し入れしてくれた。看護師さんの許可も得たので、これはしっかり頂こう。
何もない病室に、唯一あるテレビをつければ、遠く離れた美風さんの最新情報を得ることが出来る。なんて便利な世の中! というよりかは、それだけ彼が人気者だということを意味していた。
テレビの中の彼は、私の知らない仮面をつけてくるくる表情を変える。眩しい程の笑顔は、まさにアイドルそのものだった。甘い砂糖菓子のようなまなざしと、そのオーラはまさしくプロ。その歌声も、司会の人が伝える通り天使のような歌声だった。
男の人とは思えないほど、透き通った高い声。
その癖のある声を聞く度に、私はどきっとしてしまう。