第13章 Autumn編 D
「っ……、やれるもんならやれば!?」
「そうか……」
「カミュさん駄目っ!!!」
痛む体を引きずって、カミュさんと壱原さんの間に割り込むように立つ。対面したカミュさんは、本当にナイフを投げるかもしれないと思ってしまうほど、恐ろしい顔をしていた。
「どけ、天音」
「ナイフを捨てて! カミュさんっ」
「聞こえなかったか? どけ」
「こんなことをしても、彼女とやっていることは何も変わりません……っ! どんなに腹が立っても、やられたらやり返すなんてしちゃ駄目なんです。傷つけても何も手に入らない、戻ってこないんですから!!!」
私は、彼女から美風さんを奪ってしまったんだろうか。
肩に違和感を覚える。痛覚が、麻痺していく。
一瞬、視線を後ろに向けた時には、彼女が鋏を握り締めている光景だけがモノクロに見えた。
何を、した?