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【うたプリ】足し算恋愛事情

第13章 Autumn編 D



 カモミールの香り。

 銀色のステッキのような、棒を手にそれがナイフを弾き飛ばしたのだろう。見上げた先には、彼の背の向こう側、ナイフを持たない壱原さんの姿。


「これはどういうことか、説明して頂けますか? お嬢様方」
「か……カミュ様!?」


 私を抑え込んでいた女性たちも、彼の思わぬ登場に動揺から飛びのく。何人かは既に逃げて行ったらしい。遠くで、駆けていく足音だけが聞こえた。


「ど、どうしてこんなところに……ここは学園の中でも、滅多に人は立ち寄らないのに」
「寿のパートナーでしたね。事を大きくされたくなければ、この場を退いて頂けますか?」
「何の権利があって、邪魔をするの!?」
「……俺の気が変わらない内に消えろ」
「ば、馬鹿じゃないの!? そんな可愛くもなんともない女助けて、何の価値があるの!!? あたしの方が、こんなにも可愛いのに!!」
「本当に美しいものとは、外見で決まるものではない。美しさの定義など、お前如きにわかるのか」
「な、何よそれ……あんたキャラ違い過ぎ!!」
「ダーツでもするか?」


 カミュは地に転がったナイフを手に取り、壱原さんへと的を狙うように構えた。

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