第11章 Autumn編 B
「私って、最悪ですか?」
「何がだ」
「美風さんや愛佳さんだけじゃなくて、カミュさんにまで甘えて……自分で歩こうともしないで、連れ出して守ってもらうばかりで。卑怯ですよね、立ち向かうこともせず、ただ逃げて」
「わかっていて何故変わろうとしない」
「……怖いから、かもしれません」
「ならずっとそうしていろ、可哀想な自分に浸って悲劇のヒロインでも演じていろ。傷つかないように逃げて、誰かが助けてくれるのを待ち続けていろ。そうして、誰も助けなくなるのを待てばいい」
「……」
「うじうじしている女は嫌いだ、鬱陶しい」
「……すみません」
「謝るくらいなら何とかしてみせろ。嫌なら変わってみせろ、自分を変えるのに遅いも早いもあるまい」
「それでも……」
「変わり方がわからないか? そんなもの自分で見つけろ」
カミュさんの足が、見覚えのある泉の場所で止まる。太陽が反射して、泉の水面がきらきらと光っている。
「……私、ここに来るまで……学校で好きな人がいて、思い切って告白したんです」
気付けば、自然といつも私の心を閉めていた、あの日のことを話し始めていた。