第11章 Autumn編 B
――私、ほんと最悪……。
突如、部屋の中にすんざくような扉のノック音と共に扉が開く音がして、誰だよぉ! と思いながら顔を上げればいつもの眉間に皺を寄せるカミュさんの姿があった。
「え……?」
「そんな不細工な顔でお前からこれから練習にいくつもりか?」
「うげっ……ど、どうしてこんなところに!?」
「どこかの誰かさんが、愚民のことを気にかけていたみたいだからな。暇つぶしに不細工面を拝みにきただけだ」
「それはどうも……」
「……めんどくさい女だ」
「ちょっ!?」
乱暴に腕を引かれ、強引に部屋の外へと連れ出される。閉ざしていたはずの太陽が、廊下から溢れ出て眩しくて目が眩む。
一歩を踏み出すことも、結局自分で出来ないのか。やっぱり情けなくて、嫌になって。でもね、カミュさんの乱暴な手が今はとても心強い。また情けないことを言っているだけかもしれないけど、この人はいつだって厳しくて乱暴で……けれど私に一つも同情はしない。
「早く行け、練習をさぼるとその分遅れが出てまた何か言われるぞ」
「知ってたんですか……?」
「知らんのは当人くらいだろう」
「そうなんですか……」
手を引かれ、歩かされ、私は子供みたいだ。