第11章 Autumn編 B
カーテンの閉め切った部屋。それでも太陽は昇り隙間から漏れ出す光を止めることは出来ない。膝を抱え、ベッドの上に座り込む。嫌でも一人の時間は流れていき、悶々と思考が巡る。
「どんな顔で外に出ればいいのかな……」
あんなに強い憎悪を向けられたことはない。憎悪と簡単に言ってしまっていいのかさえ、わからないけれど。そっか、知らない間に私はずっと美風さんに守られていたんだ。そうして半年以上も過ごしてきたんだ。
それなのに私は、自分がどう変わりたいのか明確に見つけることも出来ず、ずるずると流されるだけに甘えて。
小さいノック音が部屋に響く。誰だろう……?
「誰ですか?」
「……愛佳ですけど、星織さん起きてます……わよね。今日、朝食にも姿を見かけませんでしたけど……体調悪いのかしら?」
「いえ……食欲、ないんです」
「そう……。でも、今日も練習がありますわよ。元気を出してなんて、安易なことは言いませんわ。だけどそうしていても、何の解決にもならないことだけ、忘れないで下さい」
足音が遠ざかっていく。愛佳さんはなんだかんだ優しい、保健室で泣き崩れる私を嫌がりもせず、泣き止むまでついててくれた。
「私、本当に自分で何も出来てないじゃない……」
本日三度目の溜息が部屋に漏れる。このまま溜息の海に溺れて、考えることも出来なくなればいいのに。膝に顔を埋めてしまえば、微かに入り込む太陽でさえ遠ざけてしまえる気がした。