第10章 Autumn編 A
「……調子に乗ってんじゃないわよ、ブス」
「……っ」
直接的で、攻撃的な言葉。思わず身体が強張る。この感覚は、久しぶりに味わう。
「曲を流すわよ」
合図が聞こえる。曲が流れ始める、半年かけて練習を積んだダンスはまた出来がいいとは言えない。しかし最初の頃に比べれば、少しは上達したように思う。ただ確かに彼女の言う通りで全体練習は特に苦手で、様々な人とポジション交換をしながら踊りながら移動するのが苦手だ。
「邪魔」
「きゃっ……」
移動の途中、誰かに足をひっかけられた。崩れた体制を立て直すことも出来ず、その場で倒れてしまう。
「あ、天音ちゃん!?」
「ちょっと星織さん邪魔!」
「うわっ」
月宮先生の声と、複数人の声が聞こえる。私がど真ん中で崩れ落ちたせいで、何人かが巻き込まれるように倒れてしまう。
「星織さん、真面目にしてもらえない?」
壱原さんが怖い顔で、私へと詰め寄る。ひっかけられたことが衝撃的で、私は俯いたまま呼吸を整えていた。