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【うたプリ】足し算恋愛事情

第1章 お姫様にはまだ早い


「名前は?」
「……先にそっちが名乗るべきじゃないんですか?」
「それもそうだね。僕は美風藍。はい、次は君の番」
「星織天音です……」
「天音、ね。天音はメイクしたことはある?」
「ないですけど……」
「そう。わかった」


 美風さんは大きな鞄の中から、ポーチを取り出し鏡台の上に並べ始める。どうやら化粧道具みたいだ。


「ちょっと怖いかもしれないけど、我慢してね」
「だから、何をです!?」
「今からメイクするから、動かないで」
「何でですか!?」
「え、メイクした方がワンピース来た時に映えるでしょ」
「着ませんけど!?」
「あんなに気に入ってたのに?」
「それは……っ」


 あれは単純な憧れだ。私が着れるほどの代物じゃない。そうとは言えず、黙り込むと美風さんは小さく溜息を漏らした。


「僕に任せて。天音の知らない自分、見せてあげる」


 鼓動が高鳴った。まるで、魔法の言葉のようにすっと私の中へと溶けていく。先程まで混乱していた頭も冷静さを取り戻し始め、あんなに何をされるのかと怖かったのに、彼の微笑みが映り込んだ途端消え去ってしまった。

 彼は手際よくメイクを始める、メイクだけじゃなく髪にも触れて整え始める。
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