第7章 Summer編 A
「……貴方、わたくしの話聞いていました?」
「私は星織天音という、ちゃんとした名前があります」
「星織さん……カミュは?」
「どうしてカミュさんでないと受け取らないのか、納得できるだけの理由であれば渡しに出向くと仰っていました」
「……カミュに会いましたの?」
「会いましたけど……それが、何か?」
「別に。その理由を星織さんに話す必要はないですわ、なら私が直接カミュに説明を」
「それでは本末転倒では……? あ、もしかしてカミュさんはそれを狙って……」
「!!!? なん、ですって……」
愛佳さん……は、物凄く驚いた表情で動揺して、俯いてしまった。
「愛佳さん……?」
「なんで貴方がわたくしの名前を!!? カミュね!? どうせカミュなんでしょう!! もういいわ行ってくる連れて行って!!」
「は、はぁ……」
愛佳さんは、口調とは裏腹にずんずん歩いて部屋を出ていく。おかしいな、本当にこんなはずでは……。
愛佳さんに引っ張られ、カミュさんの居場所を聞かれたので半ば諦めモードで泉のところへ案内すればそこにいるはずの姿は既になかった。