第7章 Summer編 A
「ところで、その紙はなんだ?」
「え……? あ、実はカミュさんのパートナーの人に渡すものなんですけど」
「愛佳に? なら早く渡しに行けばよかろう。貴様の隣の部屋なのだろう?」
「(なんで知ってるんだろう……)」
「愚図は何をしても愚図なんだろうな」
「カミュさんからでないと、受け取ってくれないそうです」
「何のジョークだ」
「え? ジョークじゃないんですけど……」
本当にジョークだと思っているらしく、カミュさんは珍しく目を白黒させていた。私もまさかカミュさんんがそんなことを言うとは思わず口元が引きつってしまった。
「何故俺が……」
「知りませんよ、寧ろカミュさんが聞いて下さいよその理由を」
「お前が聞いてこい」
「なんで私が!!」
「納得出来たら渡してやろう。ほら、早く行け」
もうこのペア嫌かもしれません。
再びカミュさんのパートナーの部屋へと、憂鬱な気持ちで向かう。重い扉に思えるのは、きっと私の心が重いせいかもしれない。
小さく、控えめに、扉をノックする。