第7章 Summer編 A
いきなり初対面で驚かれるだろうか? 緊張しながら、扉をノックした。
「……誰です?」
怪訝そうに一人の愛らしい女性が、扉を開けてこちらに姿を現した。確かに、月宮先生の言った通り見た目はお嬢様……と言えるかもしれない。
「あの、月宮先生から書類を預かってまして……」
「ふぅん。カミュはわたくしに書類をお持ちしてはくださらないのね」
「え? あ、えっと……」
「貴方、出直してきてくださらない?」
「え!?」
「わたくしはカミュからでないと、受け取りませんわ。お引き取り願えます?」
勢いよく目の前の扉は閉められた。
私は無意識に、じと目で扉をいつまでも眺めていた。
どういうこと? えっと、カミュさんでなければ受け取らないってどういうわがまま!!? まぁでも彼からであれば受け取ってもらえるんだよね?
「なら、カミュさんを探そう!」
校舎内を駆け回り、カミュさんが行きそうな場所を巡りながら、近くの人に聞いてもみるがまったく捕まらない。