第6章 Spring編 D
翌日、掲示板に張り出されていたものを見て、驚愕した。
「おっ、天音じゃん! おはよう」
「おはよう翔くん……これ、は?」
「お前知らねぇの? 昨日のデート服テスト、優秀賞ペアは掲示板に張り出されるんだぜ、写真付きで。いやぁ、一位がトキヤだなんて悔しいよなぁ! 絶対俺の方が勝ってたっつーのに!!」
「ははっ……」
「そういえば、お前らは特別賞だっけ? すげぇよな! 海とかロマンチックなところに出かけやがって」
「誰が撮ったのだろうか」
「大方、あの社長だろう」
「……」
冷や汗が滲む。写真に映る私と美風さんは、互いに手を取り合い海を背に歩いていた。私でなかったなら、さぞ絵になる写真だったであろう。
「これ、月宮先生がお前らを特別賞に選んだらしいぜ。まぁ、お陰で周りの目も少し変わった気がするけどな」
「そう……?」
そう言われてみれば、確かに以前聞こえていた嫌味がほとんどなくなった気がする。同時に違う、嫌な視線を感じるような気もするけれど。