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【うたプリ】足し算恋愛事情

第6章 Spring編 D


 とある駅に止まると、美風さんが「降りるよ」というので後を追うように電車から降りた。少し田舎の雰囲気を纏った古い駅。趣があって、初めて来る場所なのに懐かしいとさえ感じる。陽は傾き、オレンジ色に染まり始めていた。


「わぁ……海綺麗ですね!!」
「天音、大げさ」
「だって夕陽が映って……凄く綺麗」


 綺麗なものを見ると、人は心が洗われるというがまさにその通りだ。


「ねぇ、天音。ちゃんと聞いておきたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「どうして、変わりたいって思ったの?」
「……」
「天音は、自分に自信がないよね? 可愛くないとかブスとか言うし……」
「はい」
「君をそうさせたきっかけでも、あるの?」


 鼓動が早くなる、図星をつかれたかのようで、言葉に詰まる。思い出したくなくて、でも忘れることも出来なくて。突きつけられた現実に、私はどうしようもなく引き裂かれる思いだった。

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