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【うたプリ】足し算恋愛事情

第5章 Spring編 C


「痛いです、来栖さん」
「翔でいいよ。堅苦しすぎて窒息するぜ!」
「翔くんなら大丈夫だよ、うん」
「何その根拠のない発言!!」


 翔くんは意外と話しやすくて、面白い人だ。裏表がないような感じがするし……こちらも元気になるような不思議な力を持っている。


「何にこにこしてんだよ、気持ちわりぃ」
「わ、悪かったわね!」
「まぁ、別にいいけどよ……藍みたいな無表情な奴とデートなんて面白いのかわかんねぇよなぁ」
「美風さんは、確かに表情の変化は少ないですけど無表情ってほどじゃないよ」
「……それはお前の気のせいじゃないか? あいつまじで無表情だぞ!? 氷の王子様だぞ!?」
「言い過ぎじゃない……?」


 翔くんの表現が面白くて、くすくすと笑ってしまう。彼がどれだけ美風さんと仲良くて、どれほどの仲なのかわからないけど、少なくとも私が見てきた美風さんは優しい笑みを向けてくれる人で、自由な人だと思ったら私を巻き込んでどこまでも行ってしまう。
 私はいつの間にか、それに感化されてどんな知らない場所でも行けるような気がしてしまう。

 だけど私はまだ、美風さんのことを全然知らなくてわかっていなくて、仲の良さそうな翔くんが少しだけ羨ましい。


「でもお前みたいな奴が、藍のペアになってくれてよかったよ」
「どうして?」
「他の奴ら見てたらわかるかもしれない。此処はお前みたいに純粋に優勝を目指している奴だけじゃないからな」


 意味あり気な言葉を残し、翔くんが仕事があるからと笑顔で去っていく。何を意味しているのだろう?


「今日も頑張ろうっと」


 デートの日は、もうすぐそこまで迫っていた。

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