第5章 Spring編 C
「ど、どれにしようかな……」
鏡の前で、二着のワンピースを交互に自分に重ねながら、一人ファッションショーもどきを開催していた。一着は以前美風さんから貰った淡いピンクのワンピース。もう一着は、自ら最近買い物で選んで買ってみた、マリンブルーの爽やかなワンピース。白い襟元が印象的の、まるでソーダアイスのようなワンピースだ。
自分に似合う云々より、彼と一緒にこれを着て出かけたいなと思っての選択だった。
しかし、問題は色々と山積みだった。
「おーい、星織? いるかぁ」
「来栖さん? は、はい! います!!」
ワンピースをクローゼットの中にかけて、急いで扉を開けた。相変わらずお洒落さんは来栖さんが、眩しい程の元気な笑顔で出迎えてくれた。
「お前、来週デート服をコーディネートする課題が出てるんだろ? 何か手伝うことあるか?」
「うえ!!? あ、でも来栖さんにもパートナーさんいましたよね?」
「いいのいいの。あの子は寧ろ、俺がいない方が気楽に選べると思うからさ」
「へぇ……どんな子なんですか?」
「はあ!? き、聞いてどうするわけ!?」
彼の頬が少し赤い気がする。きっと可愛い子には違いない! 微笑ましいなぁとにやにやしていると、その表情に気付いたのか、軽く頭をこづかれた。