第28章 Secret True END
ひんやり、冷たい。額に、とても冷たい柔らかな感触。これは、一体何?
「んっ……」
「起きたか、天音」
「!!?」
飛び起きた。そりゃそうだ、意識がなかったはずのカミュの声がしたのだから。
「カミュ!!」
「煩い、黙れ愚民」
「……なんか、口悪い」
「貴様、よくも舞台に出なかったな!!?」
「……あっ」
「"あっ"ではない!! 何のためにこの俺が貴様の代わりに痛い思いをしたと思う!?」
「……ごめん、なさい」
「……っ、別に責めたいわけではない。何故出なかった、どういうつもりだ。俺はその答えを知る権利がある」
「カミュを置き去りにして、あの舞台に上がることなんて出来ない。そんなの、私には無理なんだよ」
「それが貴様の一年間の答えか? お前が積み重ねてきたものは、こんなくだらないことで投げ出せるほどだというのか!!」
「……そうだよっ!!」
「っ……な、に?」
馬鹿はどっちよ、この馬鹿。
私がどれだけ心配したか、どれだけ目覚めない貴方に恐怖したか、どれだけ早く目を覚ましてと願ったことか。
「積み重ねた全ては、別になくなるわけじゃない! 確かに結果を残さなければ意味がないと言われるかもしれない。でも私が大切にしたいのはそういうものじゃない!! そんな結果よりも、私はカミュの方が大事なんだよ!!!」
「……わからん。何故……俺のことなど、愛してもいないくせに」
「……それは……っ」
「一度俺の想いを断ったお前が、今もなお俺の心を絡め取る。お前はずるい、そしてあまりにも残酷だ」