第27章 愛を誓うB
「天音、痛いよ馬鹿」
「ごっごめん……」
「目が覚めたらすぐに君が傍らにいると思い込んでいたんだけど、ただの杞憂だったみたいだね」
「え……?」
「ちゃんと、舞台上に行ってくれて……よかった。じゃないと、僕が君を庇った意味、ないでしょ?」
「……、わかってるよ!!」
「わかっていてくれて、ありがとう……」
優しく頭を撫でられる。ああ、藍くんだ……嘘じゃない、本物の。
いつの間にか、寿さんが病室から姿を消していた。
「優勝、出来なかったね。テレビで見ていたよ、ちゃんと」
「藍くん……」
「ちゃんと、一人で立ってくれるようになったんだね。本当に、よかった……」
「私だって成長するんだよ?」
「うん、知ってる」
彼が私の頬に触れる、それを合図にするように目を閉じた。唇に、彼の唇の感触が重なって息が止まりそう。
「泣いてるの……?」
「ない……て?」
ほっとしたせいかな、なんでだろう……別に悲しくもないのに、涙が溢れる。