第4章 Spring編　B

　月宮先生のファッションの講義はとても勉強になる。女装アイドルとして人気だという話だが、正直全然男だなんて思えない。


「次の週にはデート服を考えてきて！　いい？　とびっきりに可愛いデート服よ。それでペアの人と、来週の土曜日デートに出かけてもらっちゃいます！」


　デート……。

　デートってなんだろう。デート……。


　思い悩んでいるうち、講義は終わってしまったらしい。周りが席を立ち、教室を出る中月宮先生が「天音ちゃん」と声をかけてくれた。


「どう？　色々と。風の噂で放課後も練習室借りて、練習してるって聞いたわよ」
「いつの間に！！？　だ、誰にも言ってないはずなんですが！」
「知ってる人は知ってるってことよ。それより、来週のデート服考えてこれそう？」
「えっと……それが、今までお洒落とか興味がなくて。デートなんて、その……更によくわからなくて」
「天音ちゃんってピュアっ子なのね！　もうっ、しょうがないわね。この林檎先生が、直々に「天音」
「あれ……？」


　教室の入り口、少しぶりに見る美風さんの姿があった。お、女子たちの視線が彼に釘付けだ……流石。