第27章 愛を誓うB
「うたのプリンセス様、優勝者は――……
エントリーナンバー三十一番、北大路愛佳っ!!!」
瞳を閉じる。積み上げた一年の日々が、幕を閉じる時。不思議と大きな落胆はない、悲しみがないわけでもないけれど。泣きながら優勝トロフィーを受け取る彼女へ、一番の拍手を送った。
ああ……もう、終わったんだ。
「天音っ!!」
「カミュ……?」
全てが終わり、舞台袖へと戻れば一番にカミュが私の元へと駆け寄る。
「よく、頑張ったな……今までで一番、美しかった」
「……ありがとう。カミュのお陰もあるんだよ、本当に。いつも私に厳しくし続けてくれて、ありがとうね」
「ふんっ……何を今更。そんなことより、今すぐ病院へ迎え。車なら嶺二が出してくれる」
「え?」
「天音ちゃん、俺にちょっとした償いをさせてもらえないかな?」
申し訳なさそうに現れたのは、あの壱原さんのパートナーだった寿嶺二さん。
「君達に、酷いことをした……あの子の代わりに謝罪する。本当に、ごめん」
「そんな……っ! 酷いことをしたのは、寿さんじゃなくて……彼女ですから」
「うん、ごめん。だからね、病院まで是非送らせてくれないかな?」
「私は別に構いませんけど……いいんですか? 皆さん、ステージの方は」
「元々美風のいない身で、出るつもりもない。さぁ、行け」
「……。うん、行ってくる」
寿さんに案内され、私達は車へと乗り込む、藍くんが搬送された病院へと向かう。無事であるようにと、強く祈りながら。